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年 月 日

山 名

標 高

2.5万図

天 気

当日福井市の
最高気温と最低気温
〔 〕は平年値+-

同行者

2002.
8/27

芦生の森 トロッコ道
(あしうのもり)
芦生演習林事務所 355m
かづら作業所 422m
七瀬 460m

久坂・古屋
中・久多

32.7℃---22.1℃
(+1.8  0.0)


行 程
福井市出発610====五波峠855====京都府北桑田郡美山町須後 芦生の森駐車場925〜940---灰野1020---小蓬作業所1100---かづら作業所1145---七瀬1230〜1410---かづら作業所1455---小蓬作業所1530---灰野1600---
芦生の森駐車場1630
             ■芦生演習林事務所〜七瀬 7.6km ■往復 休憩時間含む ■出会った登山者 5人

芦生の森の存在を知ったのは3〜4年前だろうか、世界遺産登録運動の記事を新聞で読んだことがあった。気に留めているとテレビ画面で最近、芦生の森の映像がちょくちょくながれてくる。ゆったり流れの由良川源流と手つかずの森が気になってくる。
国土地理院2.5万図の「久坂」は名田庄村の中心部、「久坂」の地図、若丹国境の南に「京大演習林」の文字は20数年前から知っていた。そんな頃は何にも気に掛けていなかったのである、どのような所かも知らなかったし調べてみようとも思ってもいなかった。

今年の夏はカミさんと日帰りで三ノ峰と別山をまだ夜が明けないうちからのスタートだった。今度はゆくり歩きたいなと思い芦生の森へ出かけた。幾つものコースがありそうだ。先ずは一般的で入門コースと云われているトロッコ道を歩いた。驚きましたね〜、由良川源流部を7.6km遡上しても標高差100mなのだ。左岸沿いのトロッコ軌道の上をヅット歩く。暦では晩夏だろう陽射しはまだ強いが広葉樹の森は涼しいのであった。
花はほとんど無い、秋の花も未だなんだろう。京都から母と娘、英国の若人二人連れと単独の男性と会っただけの静かな山旅だった。
由良川の流れ、広葉樹の森、凄く気に入ったのである。芽吹きの頃、春の花の時期、紅葉の時と何度か足を運びたい。

僕の駄文より「芦生の森はワンダーランド」発行・美山町立自然文化村 
ガイドブックより本文を紹介します(一部抜粋)
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 ■須後〜廃村灰野〜小蓬作業所〜かづら作業所〜七瀬■

由良川最上流の集落である須後の駐車場に車を置いて、演習林事務所に立ち寄って入林許可を得る。この昭和5年に建設された事務所はなかなかの風情と風格を漂わしている。

トロッコの由良川橋を渡って左岸に移ると杉林の中に芦生なめこ生産組合の榾場があり、やがて左手に由良川本流で最も川上にある井栗さん宅が見えてくる。須後を出発して約20分、杉林の中に石垣が見えてくるとここが廃村灰野である。昭和36年に最後の一軒が離村して廃村となった。

灰野谷を渡ると左手にトチの巨木がありその影に隠れるように灰野神社の小さな祠が鎮座している。やがて左手の視界が広がり対岸の展望を楽しみ、軌道橋が朽ちているところの歩道橋を渡って行くと右手に赤崎作業所跡、そして赤崎谷の軌道橋も朽ちているので手前の歩道橋を渡る。このあたりは雪解け間もない頃ならイワウチワ、そしてシャクナゲが目を楽しませてくれる。

須後から約1時間、小蓬作業所に着く。作業所の周辺には生きている化石として注目されたメタセコイヤ、そしてイチョウが植樹されていて秋11月ともなると葉の色付きが鮮やかである。
小蓬作業所を後にして行くとレールを折り曲げて軌道敷を塞ぐ大岩が現れる。一見不安定で押せば動きそうに見えるのだが根が生えたように動かない。ここにいつからあるのか定かでないが、今だにあるこころをみると、これを動かせる力持ちが今だに通りかかっていないのであろう。

大蓬谷を過ぎて影追橋を渡り次の8号橋を渡る手前で右手を見上げると、巨大な岩を根で抱きかかえるように株立ちとなって生えている杉の巨木が目に入る。人の営みを見続けてきた幾百年の年月とその威容には、心打たれ見惚れてしまう。ふたご谷を向かいに見て、由良川本流の穏やかな渓相を楽しみながら行くと、地形が開けた所で刑部谷を渡る。
この谷は従来京都府内には生息しないと言われていたニホンカモシカの死体が1971年(昭和46年)に発見され、分布図を塗り替えるきっかけになった所である。そして軌道敷脇に大きなアスナロの木が現れる。この木は、芦生演習林内に12種類17本ある保存木の1本に登録されている。

やがて前方にかづら作業所の小屋が見えてくる。軌道下にある建物の横を通って下ると広い河原があって、しばらく休憩をとっているとピッ、ピッと鳴きながらカワガラスが飛び去っていく。ここまで須後から約1時間40分、自然観察など散策気分なら2時間半程度、ここを折り返し地点とする人も多い。

時間が許せば七瀬まで足をのばすのもよいだろう。かづら谷の軌道橋を渡って七瀬へ向かう。春から初夏にかけてオオルリの声に耳を傾け、時にはアカショウビンの鳴き声に出合ながら歩く、見上げると落葉広葉樹林が美しく、目を楽しませてくれる。軌道敷きにレールがなくなると、まもなく七瀬に到着である。須後からこの七瀬まで7.6km、標高差約100m、ほぼ平坦の軌道敷、ペースにもよるが片道2時間半から3時間までのコースである。

5月であったなら上は半袖のシャツ1枚で歩いていても、靴を脱ぎ徒渉をする由良川本流の水は、雪解け水を集めて身を切る冷たさである。この七瀬にもかっては作業所があり、吊橋がかかっていたという。いまは右岸作業所の、左岸に吊橋の石垣を残すだけとなっている。ここから上流、由良川本流に添って中山に至る7.5km、約6時間のコースはかなり難路であり、途中からのエスコープは全く不可能はエリアに入るので、十分な経験と体力、計画。そして装備が必要である。

七瀬でゆったりと時を過ごすと、周りの自然環境の素晴らしさが心に染みいると同時に、こんな山奥でもかっては人の暮らしがあり、そしてその営みの残映が見えてくる。「電気」というものに人の暮らしが吸い寄せられるように灰野が廃村へと至った経緯を考えると、社会と人が電気と自動車に依存することによって得たものと失ったものは何だったろうか、かっての人の暮らしには、今では考えられないほど山や森の奥へと入り込み、人は森とともに生きていた。電気と自動車のない暮らしなど今やとても考えられないとしても、人は「便利」と引き替えに、ある意味でとても大きな
「自由」を失ったように思えてならない。気が付くと西に陽が傾き、いつまでもこの場の空気を呼吸していたい気持ちを押さえて、急かされるようにして七瀬を後にした。
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■京都大学演習林は2003年4月1日より名称が変わりました。
「京都大学 フィールド科学教育研究センター 森林ステーション 芦生研究林」


芦生 入口

芦生演習林事務所
朽ちかけたトロッコ軌道 赤坂谷の歩道橋

小蓬作業所跡

ケヤキの植林地(小蓬付近)

由良川

トロッコ軌道を歩く

七瀬の渡渉